中小企業はどうしても、自社よりも大きい会社の仕事を「請ける」機会が多いです。
「請ける」事で継続的な仕事を受注できるし、自社の集客や広告に予算を割くことなく利益を上げられるメリットがあります。
しかし、自社の利益創出の自由度が低くなったり、いきなり受注を切られるというリスクもあります。
今回は、中小企業の下請け問題を軸にどうすれば健全な経営が出来るか?考えてみたいと思います。
下請けの相関関係
下請けを協力関係と言えば聞こえは良いですが、理解の仕方によっては発注者に対して受注者の立場が著しく「弱い」という事があります。
また、これが問題でもあるのですが元請けではなく、間に数社挟まっている事もあります。
こうなると受注者にあたる中小企業の利益は相当に間引かれている事になります。
仕事量があるうちは良いですが、元請けの仕事量が減ると下請けに大きなしわ寄せが来ます。
以前でしたら、バブル崩壊、最近でしたらコロナウィルスのパンデミックでそのような状態になりました。
ですから、下請けの関係は常に安定している訳ではなく、時には急激にバランスを崩す脆いものなのです。
下請けから脱出するために:戦略をもつ
下請けの仕事以外の自社独自の戦略をもつ事が大切です。
下請けによる「目先の安定したように見える収益」以外の経営の戦略をしっかりと立てるのです。
少し俯瞰して考えると、下請けとして安定した仕事をしてきたという事は、独自の技術力やノウハウがあるはずです。
それは強みといえるでしょう。強みというのは、競合と比べて優れている点です。
これを、幹部会議や社内会議でどんどん出していき言語化していきましょう。
そして、ライバル他社への競争優位性を考えていきます。
具体的には、他社にはない資源、希少性、模倣困難性、組織力などから検討し、色々な角度から強みを洗い出していきます。
自社の強みが出たら、さらに伸ばせそうな強みを挙げて、業務の幅を広げ考えてみます。
そして、どの市場環境へ進むのか戦略を立てるのです。
下請けから脱出するために:営業力をもつ
下請け業者から脱して、収益を上げていくには取引先を増やす事は必須です。
取引先を増やすには営業活動を避けては通れません。
まずは自社の業界がどのような企業と取引をしているのかリサーチしましょう。
このリサーチはとても重要です。これからの取引先を得るか?得られるのか?の狭間になります。このリサーチに基づき営業をかけていきます。
また、リスク分散で元請け企業の取引先が多角化している場合にもチャンスがあります。
元請け企業の取引先に営業して、別業界に進出することが可能です。
また、営業では展示会に出展するやり方もあります。展示できる製品やパネル写真を用意して出展します。狙っている業界の展示会に出展すると、顧客も同じ目的で来場するので成約の確立が高くなります。
展示会では製品そのものよりも、自社の技術でできることを説明します。製品そのものよりも技術を販売することで取引先が増えていきます。
他にもインターネットを使い情報発信するなど様々な営業活動ができます。
下請け駆け込み寺を活用する
仕事を請けていえる関係から受注側から金額や納期をコントロールする事が難しい事があります。
その際に甘んじて飲み込み続けると会社経営の大きなマイナス要因になる可能性があります。
そんな時に活用できるのは下請け駆け込み寺です。
「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」に基づき、悩み相談から調停までに応じてくれる他、価格交渉のコツが分かるセミナーなども開催している無料の相談所です。
下請かけこみ寺は、法務大臣から認証を受けた紛争解決機関なので、必要があれば「裁判外紛争解決手続(ADR)」で当事者間の紛争を解決することもできます。
ADRとは、紛争当事者間が調停によって和解すること。裁判と異なり非公開のため、秘密は守られる上、裁判より軽い負荷で和解が得られる可能性が高い手法です。
ちなみに下請法は昭和31年に制定され、これまでに10回の改正を受けて今に至る法律で主に公正取引委員会や中小企業庁がその順守に力を入れています。
この下請法を受け、中小企業の利益を守ってくれるのが下請け駆け込み寺になります。
各都道府県に対応窓口があり、全国統一のフリーダイヤル「0120-418-618」で、最寄りの下請かけこみ寺につないでもらえます。
迷ったら早めに相談をする事をおすすめします。
まとめ
下請けが順調という事は考えようによっては、自社のレベルや品質やサービスは安定していると考える事もできます。
これをチャンスと捉えて、次のステージを目指すか?下請けに甘んじるか?は大きな差になります。
ぜひ、今回お伝えした下請け駆け込み寺などを活用して新しい経営の方向性を考えてみて下さい。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。