最近、「従業員エンゲージメント」という言葉を聞く機会が増えてきました。
しかし、よく分からないという経営者も多いのではないでしょうか?
特に中小企業においてはあまり馴染みのない言葉である事は確かです。
今回は知っているようで知らない「従業員エンゲージメント」について理解を深めて、さらに会社を成長させるきっかけにして下さい。
目次
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは「社員が会社に貢献したいと思っている姿勢」のことです。
そもそもエンゲージメント(engagement)という英語には、「契約」「約束」「雇用」という意味があります。
つまり会社と社員のつながりの強さをあらわしているのです。
従業員エンゲージメントの高い社員は、会社に対する「貢献度」や「帰属意識」が高いのが特徴です。
また従業員エンゲージメントは、社員が「会社のビジョン」への共感がなければ生まれないともいわれています。
会社と社員がお互いに信頼しあい、「相手の幸せが自分の幸せ」と思えるような関係であることも重要なのです。
従業員エンゲージメントのメリット
従業員エンゲージメントが向上すると、従業員のモチベーションも向上します。
会社への愛着心や信頼度が高まり、従業員一人ひとりが自分の仕事にプライドや熱意を持つようになるためです。
会社に貢献したい気持ちが高まり、従業員が前向きに仕事に取り組むでしょう。
また、従業員が仕事に価値を見出し、自主的に業務を進めることも期待できます。
そして、従業員エンゲージメントが向上すると離職率が下がります。
従業員エンゲージメントが向上すると、会社への貢献度も高まるため、他社へのヘッドハンティングや転職による人材の流出防止につながるためです。
従業員が、組織の一員である認識や仕事に対する誇りを持つことで、離職率の低下が期待できます。
同じ目標に向かって行動する環境は、職場の一体感が強まり、職場に活気をもたらします。
そのためには経営者がしっかりと社員がまとまり一致団結する「目標」を設定する事が大切になります。
これからの従業員エンゲージメント
日本の従業員エンゲージメントは他国と比較すると著しく低いものになっています。
ギャラップ社の2021年の調査によると、従業員エンゲージメントの世界平均は20%ですが、日本はわずか5%でした。
米国/カナダが34%、中国が17%、韓国が12%で、日本の低さは突出したものになっています。
しかし、企業活動がグローバル化し、世界的な競争力が必要とされることや、終身雇用を始めとした日本型の雇用体系が変化する中で、従業員エンゲージメントを高める取り組みは今後、ますます重要視されていきます。
後回しには出来ない重要な経営課題なのですが、自社の従業員エンゲージメントを数値化するなど具体的な把握が難しいです。
その場合は既に先行している他社の従業員エンゲージメントに対する取組み参考にすると多くの学びがあります。
基本になるのは以下の3つの要素です。
①社員自身が周囲に貢献できている感覚をもつ「貢献感」
②組織が自分に合っていると思える「適合感」
③自分がミスをしても支えてくれる仲間がいると思える「仲間意識」
従業員エンゲージメントを高めた企業事例
実際の取組み事例を見ていきます。
Amazon
Amazonでは『Amazon career choice(アマゾンキャリアチョイス)』と呼ばれる従業員のためのトレーニング機関を設けています。
従業員が社内や社外で需要の高い分野の職種に就くために、ソフトウェア開発やITサポートなど従業員自らが希望する研修だけを受けることができます。
社員のキャリア形成の成長を支援する、従業員エンゲージメントの好事例です。
引用:おかんの給湯室
メルカリ
メルカリのHRは採用活動だけでなく、成長する組織にあわせて人事制度の構築やエンゲージメント施策を行っています。
その一つのプロジェクトとして、「メルチップ(mertip)」という形で、リアルタイムにスタッフ間で感謝や賞賛をしあい、インセンティブとして一定額のピアボーナス(成果給)を贈りあえる制度を導入しています。
導入1ヶ月後にすぐに制度の良い効果が現れ、社内アンケート調査では満足度が87%にも達したとのことです。
引用:おかんの給湯室
LIFULL
「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」や、老人ホーム検索サイト「LIFULL 介護」の運営を行うLIFULL(ライフル)では、新規事業提案制度「Switch(スウィッチ)」を実施しています。
新規事業の拡大、成長に重きを置いているため、「事業タイトルとビジョンが伝われば企画書は1枚でいい」という非常にカジュアルな制度となっています。
認められたアイデアは、最短1年~1年半という短い期間で子会社化され、提案者は経営に参画することができます。
全従業員に加え内定者まで巻き込んで新規事業立案に取り組むことで、ひとりひとりの想いをカタチにする機会を提供しながら事業の拡大を実現しています。
従業員のやる気・モチベーションを上げながら企業の業績を向上させる好事例だといえます。
引用:おかんの給湯室
まとめ
従業員エンゲージメントは大企業だから出来るというものではありません。
むしろ、お互いの顔が見える中小企業こそ取組み易いものです。
一昔まえであれば「飲みニュケーション」のように酒や食事の場をもうける事が多かったです。
しかし、今は会社の利益と同時に社員の利益や気持ちに寄り添う姿勢が求められています。
「制度」ではなく「社員ファースト」の考え方が大切です。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。