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今回はそのDAIAMND onlineの「NTTグループが管理職2.6万人を「強制格付け」、ジョブグレード別の年収目安は?」からこれからの日本の中小企業の方向性を考えてみたいと思います。
なぜNTTは人事改革?
DAIAMND onlineの「NTTグループが管理職2.6万人を「強制格付け」、ジョブグレード別の年収目安は?」という記事によればNTTは人事改革に力を入れているそうです。
なぜ、NTTは人事改革に力を入れているのでしょうか?
NTTは典型的な「メンバーシップ型」の組織です。メンバーシップ型とは正社員として採用した従業員を定年まで雇用し続ける「終身雇用」や、年齢・勤続年数に応じて、役職・賃金を上げる「年功序列」を前提とした制度です。
つまり高度成長期から日本に古くからある組織形態と言っても過言はないでしょう。
その組織形態にメスを入れるという事はNTTという大企業にとってはかなりの断行と言えます。
なぜ、NTTが人事改革に力を入れているのか?それはこの制度ではこれからの世界を生き残れないと判断したからではないでしょうか
民営化前は日本電信電話公社という「国有企業」で、グループ従業員が30万人を超える「巨艦」NTTが、これまで常識とされてきた「日本式」制度から、脱却を始めたという事はいづれ、その他の企業にも波及するでしょう。
中小企業としてNTTの人事改革を自分事として考えなければ私たちの未来も危ういものになります。
ジョブ型人事
NTTグループでは、同期で一番出世が早い一次選抜人材を「最早組(さいそうぐみ)」、一歩遅れた人材を「次走組(じそうぐみ)」と呼んでいるそうです。
驚くはバブル期には同期入社が3000人もいた!!という大所帯で、入社時から社員はふるいにかけられていました。
最早組のエリート人材ですら管理職になれるのは30代半ばの10年選手を超えてから。年次や前ポストにおける年数要件を満たさないと昇格できないなど、人事の硬直性が以前から指摘されていました。
そうした弊害を解消すべく進められているの人事改革が「ジョブ型人事」です。
ジョブ型人事とは、職務(ジョブ)に合う人材を採用する人事制度のことです。
職務とは担当する仕事と役割を意味します。ジョブ型雇用人事制度では、会社の中の仕事内容と責任範囲や役割がひとつひとつ定義されているのです。
これまでの曖昧な役職とはかなり大きな違いがあります。そのため仕事内容と責任、役割によって報酬が定められます。責任の重さや仕事量によって報酬が上下することが特徴です。
ジョブ型人事では、職務を担える人材を採用または配置することで組織を運用します。
これまでのメンバーシップ型の人事は、「適材適所」の考えに基づく人事制度です。
一方でジョブ型人事は、職務に対して適切な人を配置する「適所適材」の考え方と言えます。
ジョブ型とメンバーシップ型は正反対の制度と言えます。まさにNTTは人事改革に着手したと言えます。
中小企業のジョブ型人事のメリットとデメリット
ジョブ型人事は、高いスキルを持った労働者であれば、年齢の上昇や人事異動よるステップアップを待たずに高い給与を得ることができます。
早期に高報酬になるので経営面から見ると会社としてその分の支払いが可能か?という資金の問題がでてきます。
また、会社側に高報酬に見合った仕事を用意できるか?という問題もあります。しかしスペックの高い高スキル者にとってはメリットが大きい制度と言えます。
反対にデメリットは、誰もが高い給与に見合ったスキルを備えているとは言い難く、平均的な能力の労働者にとってはシビアな制度と言えます。
これまでは、定期昇給や人事異動を経て昇進し、それに伴い給与も上がっていましたが、仕事と賃金が紐づくジョブ型雇用では、年齢が上がったからと言って給与が上がるという保証はなく、自身で高い給与に見合ったスキルを身につけなければ高スキルを備える若手従業員よりも低賃金となります。
中小企業としては会社の成長と適正なジョブの提供と賃金をバランス良くとらなくてはいけません。
ジョブ型人事が向いている中小企業
中途採用がメインの中小企業であればジョブ型人事が導入しやすいとも言えます。
新卒採用であれば、様々な仕事の経験を通して専門分野を見極めていく必要がありますが、即戦力の中途採用であれば採用の段階で職務が決まっているからです。これは中小企業にとっては朗報でしょう。
また、中途採用者自身も、中途採用時の年齢によりますが、採用時から、仕事に見合った給与が約束されている方が、年齢による昇給を待つ必要がないことからメリットと言えます。
しかし、注意点もあります。ジョブ型人事では一般的に用いられる配転命令が出せなくなります。
ジョブ型人事は仕事と給与が結びついているため、原則として、働く場所や仕事の内容の変更を打診するには契約内容そのものを変更しなければいけません。
現実的には契約内容の変更は頻繁に行うことはできません。ですから従来のような入社後の適性を見極めながら、試用期間終了後の配属先を決定すればよいという人事はできません。
採用の段階で、慎重に契約締結しなければ、トラブルとなる可能性が高くなります。
また、高スキルを身に着けた労働者目線では、賃金に見合った仕事がなくなってしまえば、年齢の上昇を待つメリットがなく、転職してしまうリスクがあります。
まとめ
ジョブ型人事がNTTのような大企業だけに向いている訳ではないという事が理解できましたでしょうか?
ある意味、利益追求・生き残りの理想の形がジョブ型人事ともいえます。
中小企業においてはメリットとデメリットをしっかり把握してこの制度を採り入れる事で最初は大変でも成長を手に入れる可能性も高いものです。
経営者としてこの大鉈をふるう冷静な決断が迫られていると感じます。
あなたはどう感じましたか?
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。