中小企業は有能で魅力的な人材を確保する事が難しいです。
会社によっては人事担当者がおらず、社長や経営者が直接人事をしているところも多いです。
それはさらに人材確保を難しくしているという現実です。
今回は、中小企業の人事担当者がどんな事に悩んでいるのか。またその解決策をいくつかお伝えしていきますので最後までお読み下さい。
採用活動が手薄になりがち
中小企業では採用に関する専任の人材が少ないため、採用活動に注力することが難しいです。
まず、大企業が実施しているような大規模な採用セミナーや会社説明会を開催することが困難なのが現実です。
また、人材紹介会社との提携にもコストがかかるため、中小企業では利用が制限されがちです。
現実的にはWebサイトへの採用情報掲載やSNSを使った広報活動など、低コストで実施できる方法を使うことが多いです。
しかしながら、優秀な人材を確保するためには、一定の採用コストを投資する必要があるのは歴然たる事実です。
対策としては、採用業務をアウトソーシングすることで専門性を補う方法があります。
OB/OGの紹介で採用するなど、人脈を活用するのも地味ですが有効です。業界団体と連携した共同採用セミナーを開催するなど、近隣企業とコストを分散する方法も対策の一つです。
教育研修の機会が限られる
中小企業では教育研修予算が限られているため、社員を外部のセミナーに参加させることが難しいのが現状です。
1人あたりの参加費用や交通費、時間的コストを考えると、中小企業にとって外部セミナーは大きな負担となります。
また自社内でのOJTやOff-JTを実施するための専門の人材も確保しづらいのが課題です。
対策としては、業界団体や行政が提供する研修制度を活用することが考えられます。
近隣企業と連携して研修プログラムを共同開発することも効果的です。またeラーニングなどのオンライン研修を取り入れるのもコスト面でメリットがあります。社員の自発的なスキルアップを支援する制度をつくるのも良いでしょう。
評価制度や賃金体系の構築が難しい
中小企業には人事考課や賃金設計の専門知識を持った人材が少ないのが現状です。
考課基準が明確でないために、考課が上長の恣意的な判断になりがちです。
また、企業業績と連動した賃金体系を構築するのが難しく、生産性と賃金の連動が弱いために動機付けに課題がある場合があります。
対策としては、考課と賃金の関連性を高める仕組みづくりが必要です。人事コンサルタントに依頼して客観的な評価制度を設計する方法も有効です。
業界団体で賃金水準を調査し、自社の水準を把握することも重要です。人事考課と賃金決定のプロセスを明確化し、社員に公平感を与えることが動機付け向上につながります。
福利厚生が手薄になりがち
中小企業では、保険や年金、休暇・休職制度などの福利厚生にかけられる経営資源に限りがあります。
特に製造業などの労働集約型の中小企業ほど、人件費に対する制約が大きく、充実した福利厚生の提供が難しいのが実情です。
対策としては、制度の充実よりも社員が実際に利用しやすい工夫をすることが重要です。
例えば、法定外の有給休暇は設定できない代わりに、年次有給休暇の完全消化を推進したり、補助制度を使って健康診断受診を奨励するなどの方策が考えられます。
また、近隣企業と共同で福利厚生制度を利用する方法も効果的でしょう。
労務管理が疎かになるリスクがある
中小企業には専門的な人事労務知識を持った社員が少ないため、法令遵守や労使交渉などの労務管理がおろそかになりがちです。
例えば、サービス残業が放置されたり、就業規則や労働条件通知書が古いままになっていることがあります。
また、退職金や解雇に関するトラブルも発生しやすくなります。
対策としては、社会保険労務士などの外部専門家に相談することが重要です。
また、自社の労務管理の運用が適正か定期的にチェックする体制をつくる必要があります。労働基準法などの研修を実施して、管理者の意識も高めることが大切です。労使交渉については、業界団体と連携して対応する方法も効果的でしょう。
社員のストレス軽減の課題
中小企業では、社員一人当たりに求められる役割が広く、ストレスが高まりやすい傾向にあります。
また、メンタルヘルス不調になった社員のケア体制が十分でないため、早期発見・早期治療が難しくなっています。
業務の過重負担や人間関係のストレスから精神疾患を発症するケースも少なくありません。
対策としては、社員のメンタルヘルス不調のサインを見逃さないセルフケア力の醸成が必要です。
考え方によっては、規模が小さくお互いの顔が見える中小企業には実行し易い事です。
定期的なストレスチェックや相談窓口の設置、カウンセリング体制の整備を行うことも重要です。
業務内容の見直しと適切な労働時間管理、職場環境の改善に取り組むことで、ストレス軽減につながるでしょう。
まとめ
中小企業の人材確保は自社の売上に最も影響を与える事のひとつです。
どの課題にも言える事は自社だけでどうにかしようとせずに、専門家の手を借りたり、近隣の中小企業と共同でコスト分散をする事などが大切です。
その際、情報弱者的な会社は悪質な業者に不要なサービスを売られたりする可能性もあるので、契約する前に徹底して調べる事も大切です。
最近では中小企業でも有効なSNSでの情報発信をして人材確保に成功している会社もあります。
中小企業の「フットワークが軽い」という点を最大限に活かして良い人材を一人でも多く採用したいものですね。