私の周りにも大先輩の経営者がたくさんいます。
みなさん、見た目も行動も若々しく、時々後輩である私の方が老けているように感じる事があるくらいエネルギッシュです。
しかし、そのような大先輩の経営者でも、しっかりと後継者を育成している方とそうでない方がいます。
これは「経営者あるある」なのですが、後継者を育成していない会社は重鎮的な社員が辞めたりする事が多いです。
しっかりと事業承継をしないと社員が潜在的に不安を抱くのはしょうがありません。
今回は事業承継をする事で会社が成長する理由とその方法をまとめました。
目次
中小企業の事業承継の現状
経済産業省が平成28年に出した「事業承継に関する現状と課題について」という資料によると日本の特に中小企業の事業承継が進んでいない事が分かります。
さらにこの資料によると経営者の平均引退年齢が中規模企業で67,7歳、小規模事業者にいたっては70,5歳とかなり高齢化している現状が分かります。
中小企業においては経営者が創業者である事が多く、自身が会社を牽引していた事が災いして事業承継のタイミングを逸している現状があります。
また、この世代は丁度、団塊世代にあたり2020年をピークに数十万人の経営者が引退時期にさしかかっていると言われています。
前出の資料によれば70代、80代の経営者の半数以上が「準備は終わっていない」と回答しています。準備が滞っている項目の第1位は、「後継者を探すこと」となっています。
後継者は社員の補充のように短期間で出来るものではありません。しっかりと育てていく事が必要になりますが、タイミングを逃すと育てる事自体が不可能になってしまいます。
そのために、中には儲かっているけれど廃業する会社も出ています。その割合は60歳以上の中小企業・5割以上が廃業予定、個人事業者の場合、約7割が廃業予定と日本経済に深刻な影響を与える可能性があります。
事業承継が進まないリスク
事業承継できなかったときには様々なリスクが生じます。
まず一番深刻なのは「社員の雇用を守ることができない」という事です。
事業承継が出来ない、または失敗した場合、最悪のケースでは会社が事業を存続できなくなってしまいます。
事業を存続できなくなってしまうと、そもそも会社は売上をあげることができなくなり、社員に給与を支払うことができなくなります。
その結果、社員を解雇せざるを得なくなるなど、大変大きな影響が生じることとなります。
社員はその会社の財産でもあるので事業の存続も出来なくなるという負のスパイラルになります。
事業承継できない場合の他のリスクとして「廃業コストがかかる」事があります。
事業を継続するためにはコストがかかりますが、実は廃業する際にも同じようにコストがかかります。
会社を畳む決断をした場合、考えられるだけでも以下のような支出があります。
・保有する資産を売却するためのコスト
・退職する従業員に対する退職金
・会社を解散・清算するための登記費用
また、会社に残された資産より負債の方が大きい場合には、会社の破産手続きをしなければなりません。
個人保証をしている場合には自宅まで売却しなければならず、適切な廃業のタイミングを図ることができなかった代償は大きいです。
さらに、事業承継できない場合「地域社会に与える影響が大きい」という事があります。
中小企業が長年にわたって事業を継続してきたのは、その事業内容が広く認められてきたからです。
消費者相手に商売をしてきた会社だけでなく、特定の取引先との関係もまた、そのような信頼から成り立ってきたといえるでしょう。
事業を続けてきたことで、その会社の存在は地域に広く浸透しているはずです。
廃業することとなったときにその代わりの会社がなければ、地域の空洞化といった影響が出る可能性もあります。
事業承継をチャンスにする
デメリットやリスクばかり見てきましたが、事業承継はひとつの成長のチャンスでもあります。
前出の経済産業省の資料によれば事業継承を行った企業は投資や売上げが拡大している事が分かります。
その要因として事業承継を行うことで、投資や売り上げが拡大する傾向があり、若い経営者は投資意欲も高く、会社の成長に大きく関与すると考えられます。
経営者の年齢による直近3年間の売上高の傾向で「増加」と答えた方の割合が
30歳未満→38.9%
30~40歳未満→51.2%
40~50歳未満→33.8%
50~60歳未満→26.0%
60~70歳未満→21.8%
70歳以上→14.4%
となっており明らかに若い方へ事業継承することで会社の成長につながると言えます。
さらに、事業承継を実施した企業の承継後5年間の売上高や成長率をみると、事業承継の1年後が最も高く、2~5年目まで同業種の平均値を0,6~1,2%上回り、高い成長率を推移している事も分かります。
やはり、少々のリスクをとっても、事業承継をきちんと成功させる事は会社の成長のみならず会社の存続にも大切な事だと分かります。
事業承継マッチングサイトという選択肢
事業承継マッチングサイトとは、第三者への事業承継を考えている経営者と譲り受けを検討している会社・個人をインターネットによって結びつけるサービスです。
これまで、事業承継の相談先としては商工会議所や弁護士、行政書士や中小企業庁が設置する公共機関や、銀行などの金融機関、M&A仲介会社が多かったです。
しかし、最近では多くの情報をもっている事業承継のマッチングサイトも注目されています。
事業承継マッチングサイトには、M&A全般を対象とするマッチングサイトと事業承継に特化したマッチングサイトがあります。
事業承継特化型のマッチングサイトのなかには、特定地域の自治体や商工会議所などの団体が後継者不在問題の解消や地域振興を目的として運営しているタイプも存在します。
M&A全般を対象とするマッチングサイトは下記のようなものがあります。
M&Aサクシード
M&Aサクシードは法人向けの完全審査制M&Aプラットフォームです。
M&Aに本気の優良企業のみが多数集まっており、質の高いマッチングを図ることができます。
M&A・事業承継が初めてでもスムーズに交渉が進められるよう、進捗状況に応じた手順の案内なども提供されます。
これまでに幅広い業種・規模の企業の組み合わせによるM&Aが実現しており、買収に積極的な買い手企業による売り手の公募もたびたび行われています。
公式サイト:https://ma-succeed.jp
M&Aクラウド
M&Aクラウドは、売り手側が案件情報を登録して買い手を募集するだけでなく、買い手側が買収ニーズを発信して売り手を募集することも可能なタイプのマッチングサイトです。
相手方に直接アプローチすることを前提としたサービスであり、アドバイザーは登録できません。
売り手側はIT系企業の登録が多く、買い手側には大手IT企業やDXに積極的な企業が多く集まっています。
公式サイト:https://macloud.jp
SMART
SMARTはM&A仲介会社のストライクが1999年に開設した日本初のM&Aマッチングサイトです。
ストライクの仲介サービスの一環として運営されており、サイトに売却案件を掲載している企業と交渉を進めるにはストライクとの契約が必要になります。
登録案件はSMART上で公開されるほか、メールマガジンやストライクの人的ネットワークなどを解して発信されます。SMART上には公開しないという選択も可能です。
公式サイト:https://www.strike.co.jp/smart/
事業承継に特化したマッチングサイトは以下のようなものがあります。
事業承継マッチング支援
事業承継マッチング支援は日本政策金融公庫が運営するマッチングサイトです。
売り手・買い手ともに無料で利用できます。
売り手側が匿名の売却案件情報を公開して買い手を募集するという典型的なマッチングサイトのサービスに加え、日本政策金融公庫が売り手・買い手の要望に基づいて適切な相手を探してマッチングを図るサービスも提供されています。
公式サイト:https://www.jfc.go.jp/n/finance/jigyosyokei/matching/
担い手探しナビ
担い手探しナビは日本税理士会連合会が運営する事業承継マッチングサイトです。
売り手・買い手ともに税理士(顧問税理士など)を通してサービスを利用する形になっています。
売り手・買い手の相談・依頼に基づいて税理士が情報をサイトに登録し、相手企業を探し、相手方の税理士を通してマッチングを図ります。
公式サイト:https://nichizeiren-shoukei.jp/
ビズマ
ビズマは地域に根ざした事業を展開する中小企業を対象にしたマッチングサイトです。
オンラインサービスの利用が難しい(あるいは利用に抵抗がある)人に向けたオフラインでのサポートが充実しているのが特徴です。
相手方への交渉オファーは基本的にビズマ事務局が取り次ぐ形となります。有料のメッセージ機能を使えば直接やり取りすることも可能です。
公式サイト:https://bizma.jp
まとめ
今回は事業承継をする事で会社が成長する理由とその方法をお伝えしました。
多くの会社が後継者を育てられない現実がありますが事業承継マッチングサイトなどを活用する事で挽回できる可能性があります。
事業承継は相談しにくい事ではありますが「事業承継が進まないリスク」でお伝えしたように経営者だけの問題ではなく、社員や地域、取引先にも影響を与えます。
1日も早い事業承継への取り組みをおすすめします。