宿泊業の経営者を悩ませる「IT化」は可能なのか?

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宿泊業の経営者を悩ませる「IT化」は可能なのか?

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帝国データバンクが2022年8月に「人手不足に対する企業の動向調査」というレポートを出しました。

 

その調査によると「旅館・ホテル業界では特に正社員が不足しておりその企業割合は47.7%と半数に迫っている」という結果が出ていました。

 

近年は新型コロナの流行により観光産業が停滞したためにその影響は宿泊業に大きなダメージを与えた事は事実です。

 

しかし、最近の海外からの観光客の入国条件の緩和や円安など海外からの旅行者は確実に増加します。

 

今回、宿泊業はどのように人手不足と向き合えばよいか?をまとめました。

 

 

宿泊業におけるダークサイド

 

宿泊業の人手不足は何も新型コロナの影響で観光産業が弱くなり、そのために離職者が増えただけが原因ではありません。

 

宿泊業は以前から色々な問題を抱えていました。

 

まず、宿泊業はその独特な勤務が必要です。勤怠が不規則で、深夜や早朝も働かなければいけません、

 

しかし、その大変な勤務体制が待遇に反映されているか?と言われればけっしてそんな事はありません。待遇面が見合わないのです。

 

特に若者の離職率は高く、入社3年以内に仕事を辞める人の割合は現状で50%以上と言われています。

 

全業態の平均が30%といわれているので、いかに宿泊業の離職率がいかに高いかが分かると思います。

 

このように離職者が多いと必然的に残る者に負担のしわ寄せが行きます。それが負のスパイラルとして続いているのです。

 

また、近年はインターネット上の旅行サイトなどによる宿泊費の低価格化が進み、経営を圧迫している事も見逃せません。

 

そのために、待遇改善がなかなか進んでいない現状があります。

 

働く側としても、勤務時間が不規則なために家庭や子育ての両立が難しい面があるのも以前から問題になっていました。

 

「仕事と生活の指針」という国の指針も宿泊業は認知が遅れており、せっかくの人材が他業界へ転職してしまう事態が続いています。

 

 

IT化を進めることで得られるメリット

 

問題を多く抱えている宿泊業ですが、今少しずつ業界を改善しようという動きが進んでいます。そのひとつが「IT化」です。

 

宿泊業の業務は伝統的にアナログなものが多かったです。実は宿泊業の従業員が行っている業務は、多岐にわたります。

 

その一つひとつをアナログからIT化することは、業務の改善に繋がり、宿泊業にとってメリットが大きいです。

 

代表的な例として旅行業における「引継ぎ」があります。これまではアナログな方法で引継ぎが行われており、従業員同士の連絡のミスが起きていました。

 

業界としては常識なのかもしれませんが、紙に書いてメモを残す、直接会って伝えるといったアナログな引継ぎ業務は、些細なメモの紛失や情報の行き違いが起きてしまいます。

 

時には、宿泊者に関する引継ぎである場合、ホテルの信用問題に繋がります。

 

そこで、情報共有ができるITが導入されると、引継ぎのルールが統一化され、連絡ミスを防ぐことが可能で大きなメリットになります。

 

他にも、海外客へのアナログに依存した接客スキル不足があります。

 

ホテル業界は、海外の言語に対応できる従業員が不足しており、海外のお客様への接客スキル不足問題が起きています。

 

IT化が進むことで海外のお客様への接客をスムーズに行う事が期待できます。

 

現実としてホテルにはあらゆる国から宿泊者が訪れることがありますが、全ての国の言語に対応することは難しいです。

 

また、多言語対応可能な従業員の数が少なく、営業時間内中全て対応することはできません。

 

しかし、例えば言語の対応が不要なスマートチェックインといったシステムがあれば問題は一気に解決されます。

 

従業員の言語スキルが充分でなくても、スムーズな接客を行うメリットがあります。

 

 

ホテルで進むIT化の実例

 

スマートチェックイン

ホテルのフロントに設置された専用端末に、スマートフォンに表示したQRコードをかざして本人確認をすることで、チェックインの作業を簡略化できるサービスです。

ホテルによっては、スマートフォンをルームキーとして使える場合もあります。

 

ロボットによる接客

ロボットと言うと「ペッパー君」のようにある程度、人間の形に近いものを創造しがちですが人工知能(AI)を使ったツールもロボットになります。

例えば接客で、ホテルの受付カウンターや客室の案内、観光案内や、周辺施設の案内、お会計などの業務は移動型ロボットでなくても全て任せてしまうことができます。

受付に来たお客様に予約をしているか質問し、予約済みであれば名前を入力し該当する部屋へと誘導するなども可能です。

 

AIによるQ&Aチャットボット

宿泊業で大きな負担になっている業務としてお客様からの問い合わせへの対応があります。

しかし、特別なものを除くと問い合わせの内容はある程度パターン化されています。

それをAIに学習させて対応をさせて、人間が対応しなくては解決できない事だけに対応する事で業務の効率化が可能になっています。

 

タブレット端末での部門連携

これまでアナログなメモや引継ぎなどによって情報を共有していたものをタブレットなどで一本化する事で瞬時に全社員が情報を共有する事が可能になりました。

ロボットによる清掃

ロボットによる清掃は家庭でも「ルンバ」が普及したのでイメージし易いのではないでしょうか?

宿泊業ではより宿泊業に特化した機器もあり導入も進んでいます。

 

勤怠管理システム

ホテル業界は、さまざまな勤務形態の従業員が働いていますが、紙のタイムカードや出勤簿などによる勤怠管理や、Excelによる管理がまだ多く、従業員の正確な労働時間の把握に難儀しているところも少なくないようです。

しかし、近年は従業員の正確な労働時間の把握のための専用の勤怠管理システムが続々と出ています。

様々なシフトにも簡単に対応できるので管理者の仕事量の削減にもつながっています。

顧客管理システム

旅行業におけるIT化で最も恩恵が大きいのがこの顧客管理システムです。

以前は紙ベースのためただの「顧客台帳」的な使い方しか出来ませんでした。

しかし、顧客管理システムを導入することで宿泊予約や販売価格、残室数、料金清算といった客室に関する情報を一元管理できるようになりました。

他にも、顧客管理や戦略構築のデータ分析、宿泊者ごとの予約経路やメッセージ(申し送り・注意事項)などを入力する機能があるため、集積されたデータを生かすことでスムーズな顧客対応や営業戦略に役立てることができます。

お客様のフォローも自動的に出来る仕組みもあるので顧客の維持にも大きく貢献しています。

ホテルのIT化に使える補助金

 

この記事では、2022年7月現在で宿泊業向けに募集されている補助金をまとめました。補助金は期限があったり、更新されますので最新の情報か?注意しましょう。

 

 

事業再構築補助金

事業構築補助金は、ウィズコロナ・アフターコロナ時代に向けて、思い切った事業再構築をしたい中小企業の支援を目的としています。

対象となる事業者が多い通常枠については以下のとおりです。

 

 

引用元:HOTELSMART

 

補助対象となる業種が広く、宿泊業でも活用できます。

いくつかの募集枠があり、用途や事業規模によって補助金額が変わるので、自分たちが活用できる枠を検討しましょう。

公式サイト:事業再構築補助金

 

 

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する経費の一部を補助することを目的としています。

名前の通り企業のデジタル化に向けた補助金で、用途も指定されています。

 

引用元:HOTELSMART

中規模の事業者も活用できる補助金です。デジタルツールの導入費用にのみ利用でき、設備投資に比べると補助金額が少なめに設定されています。

詳しくは公式サイトを参考にしてください。

公式サイト:IT導入補助金

 

 

ものづくり・商業・サービス補助金(デジタル枠)

 

上記でも紹介した通り、ものづくり・商業・サービス補助金にはデジタル化を目的とした募集枠もあります。

 

引用元:HOTELSMART

通常枠と比べて最大補助率が高くなっています。

 

公式サイト:ものづくり補助事業公式ホームページ

 

 

まとめ

宿泊業においてのIT化は、これからの日本の少子高齢化を考えると、まったなしのところに来ています。

 

海外ではポストコロナに向けてすでに動き始めています。

 

生き残りのためにも経営者はIT化を躊躇せずに決断してしっかりと投資する事が求められています。

 

IT化の向こうに業界としての健全化もあります。これまで旧態然としていたので宿泊業はまだ可能性が大きくある業種です。

 

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

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