中小企業の経営においては良い時、悪い時の波がどうしても出てきます。
その時に一番、気になるのは社員への給与や賞与ではないでしょうか?中小企業においては社員は大企業以上に大切なものです。
給与や賞与は社員を会社に繋ぎ止める大切な要素です。特に賞与は生活費の一部として考えている社員も多いです。
経営状況が悪い時に社員への賞与をどう考えればいいか?今回はまとめましたので最後まで読んで下さい。
目次
赤字の状況を慎重に分析する
赤字の状況下で賞与を支給するかどうかを判断するには、まず企業の経営状況や財務状況を徹底的に分析する必要があります。
赤字の原因が一時的なものなのか、それとも構造的な問題なのかを見極める事が大事です。
一時的な要因による赤字であれば、短期的な対策で改善が見込めるかもしれません。一方、長期的な構造的問題による赤字の場合は、抜本的な経営改革が必要となります。
ですから、結論から言えば一時的なものでなければ賞与は見送るのが得策です。
そのうえで、中小企業の経営者は財務状況を詳細に把握する事は絶対に必要です。
赤字の状況下で賞与を支給するかどうかを判断するには、どんぶり勘定や感情ではなく、自社の正確な財務状況を詳細に把握することが重要です。
具体的には、以下のような点を確認する必要があります。
・売上高、営業利益、経常利益などの推移
企業の収益性を示す指標として、売上高、営業利益、経常利益の推移が重要です。売上高は企業の事業規模を表し、営業利益は本業の収益力を、経常利益は金融収支を含めた総合的な収益力を示します。これらの指標の推移を分析することで、企業の業績動向を把握できます。
・自己資本比率、流動比率などの財務指標
企業の財務健全性を示す指標として、自己資本比率と流動比率が重要です。自己資本比率は総資産に占める自己資本の割合を表し、この比率が高いほど財務基盤が強固です。一方、流動比率は流動資産を流動負債で割った指標で、短期的な支払能力を示します。100%を超えていれば、短期的な資金繰りは安定していると評価できます。
・手元資金の状況
企業の資金繰りを示す指標として、手元資金の状況が重要です。手元資金とは、現預金や1年以内に現金化できる有価証券などの流動性の高い資産を指します。手元資金の水準が高ければ、短期的な支払能力が高いと評価できます。一般的に、平均的な限界利益(粗利総額)の3カ月分以上の手元資金を確保することが望ましいとされています。
・借入金の返済計画
企業の財務健全性を示す指標として、借入金の返済計画も重要です。借入金の返済が順調に進んでいれば、財務リスクが低いと評価できます。一方で、返済計画に遅れが生じている場合は、財務リスクが高まっている可能性があります。
これらの財務情報を分析することで、企業の支払能力や将来の見通しを把握できます。経営者はこれらの財務状況をしっかりと把握したうえで赤字下での賞与を出すか?判断しなくてはなりません。
賞与の支給基準を明確にする
賞与の支給基準を事前に社員に明確に示しておくことは非常に重要です。単純に業績連動型ではなく、勤続年数や職責などを考慮した基準を設けることが必要です。
具体的な支給基準としては、以下のようなものが考えられます。
・勤続年数に応じた支給額
・ 職位や役割に応じた支給額
・個人の業績評価に応じた支給額
・会社全体の業績に応じた支給額
これらの基準を就業規則などに明記し、社員に周知しておくことで、賞与支給に対する透明性と公平性を確保できます。また、社員のモチベーション向上にもつながります。
そして、赤字の状況下では、通常の賞与額を支給するのは難しいかもしれません。支給額は企業の財務状況に合わせて、適切な水準に抑える必要があります。
赤字の原因が一時的なものであれば、短期的な対策で改善が見込めるかもしれません。その場合は、賞与の支給を一部減額するなどの対応が考えられます。
一方、赤字が長期的な構造的問題による場合は、抜本的な経営改革が必要となります。その際は、賞与の支給を一時的に停止するなどの対応も検討する必要があるでしょう。
ただし、賞与の支給を完全に停止してしまうと、社員のモチベーション低下につながる可能性があります。そのため、企業の財務状況に応じて、賞与の支給額を適切に調整することが重要です。
社員との対話を大切にする
賞与に対して一番敏感なのは社員です。ですから赤字の状況を社員に丁寧に説明し、理解を求めることは非常に重要です。
単に賞与の支給を停止するのではなく、社員との対話を通じて、賞与の支給に関する合意形成を図ることが肝心です。
まず、経営陣は社員に対して、赤字の原因や経営状況を正直に説明する必要があります。単に「赤字なので賞与はありません」と伝えるだけでは、社員の不安や不満を招きかねません。
その上で、社員の意見を丁寧に聞き取り、賞与の支給に関する合意形成を図ることが重要です。例えば、一時的な賞与の減額や支給時期の変更など、双方が納得できる解決策を見出すことが望ましいでしょう。
また、赤字の状況が長期化する場合は、社員の生活設計にも影響が出てくるため、より丁寧な対話が必要となります。社員の生活面での不安を理解し、支援策を一緒に検討することで、組織全体の士気を維持することができます。
さらに経営者として「社員の生産性向上に向けた取り組み」も重要です。赤字の状況下だからこそ、社員の意欲を高め、生産性を向上させることで、企業の収益改善につなげることができます。
そのためには、社員の意見を積極的に取り入れ、適切な報酬制度の構築や、業務の効率化など、様々な取り組みを検討する必要があります。
やはり、日頃の社員とのコミュニケーションに基づく信頼関係は最も大切な礎になる事を経営者として肝に銘じる必要があります。
まとめ
社員に賞与を出したくない経営者はいないでしょう。
でも、赤字という会社の危機の時に社員のモチベーションを下げずに、賞与をどう取り扱うか?でその後の社員の定着に大きく影響を与えます。
賞与が無い、少ないという事で会社を去る人材が多いのは中小企業の課題でもあります。
日頃の経営をいかに健全化して普通に賞与を出せる体質になるか?経営者の手腕が問われています。
同じ経営者として頑張っていきましょう!