2022年に厚生労働省が発表した人口動態速報(2022年5月分)によると、2022年1月~4月の出生数は32万467人でした。この時点での出生率は6.1でした。
また、6月上旬に発表された2021年の合計特殊出生率(15歳~49歳の女性ひとりあたりの生涯出産人数)をは1.30でした。
近年の日本では出生率・合計特殊出生率ともに減少をたどっています。世界銀行が公表したデータによれば、2022年9月現在の合計特殊出生率世界ランキングで日本は191位でした。
208ヶ国がベンチマークされたランキングにおいて、この順位はかなり低いものです。
現在、政府が少子化対策として色々と行っていますが、正直どれも効果を上げているとは言えない状況です。
以前に、イーロン・マスク氏が日本の出生率に注目し、人口を増やす努力をしなければ、日本は消滅の危機にあるという発言が論議を呼びました。
少子化問題は将来的な社会混乱につながりますが、その第一波が2025年に日本を襲おうとしています。
今回は中小企業における2025年問題を考えてみました。
目次
そもそも2025年問題とは?
2025年にいわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上が後期高齢者となります。
2025年問題とは、超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響のことを言います。
団塊の世代は、第1次ベビーブームの時期に生まれ、さまざまな分野で日本の成長を牽引してきました。
この世代が75歳以上を迎えることで、総人口1億2257万人のうち、後期高齢者の人口が2,180万人に達します。
【出典】総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」
社会における2025年問題
2025年問題の社会的影響の一つが、医療費や介護費の増大、またそれに伴う現役世代の負担の増大です。
後期高齢者の一人当たりの年間医療費は、75歳未満では平均22万2000円ですが、75歳以上は93万9000円とおよそ4倍※1、介護費も後期高齢者は大きく膨れ上がります。
これまで社会を支えてきた世代が今度は支えられる側に回ることによって、年金なども含めた社会保障給付費全体を予算ベースで見ると、2018年の約121兆円から2025年度には約140~141兆円になると推計されています。
一方、医療・介護・年金を合わせたサラリーマンの保険料率は、2025年度には31%に増えると見込まれ、現役世代の負担をいかに軽減するかも大きな課題となります。
中小企業における2025年問題
2025年問題がもたらす中小企業への深刻な影響は、大きく分けると「事業承継問題」と「人材不足」の二つです。
2025年までに中小企業・小規模事業者の経営者約245万人が、平均引退年齢である70歳を超えます。しかし、約127万人の後継者がまだ決まっていません。
一般的に中小企業・小規模事業者では、企業運営の多くを経営者自身の経営能力や意欲に依存しており、後継者未定の半数に黒字廃業の可能性があります。
その結果2025年までの累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる可能性があるとも言われています。
中小企業・小規模事業者が持つ技術やノウハウなどの貴重な経営資源を守るためにも、生き残りのためにも後継者の養成や資産・負債の引継ぎなどが喫緊の課題となっています。
また、中小企業庁では、今後は第三者承継(事業承継型M&A)の2025年までに中小企業・小規模事業者の経営者約245万人が、平均引退年齢である70歳を超えます。しかし、約127万人の後継者がまだ決まっていません。
一般的に中小企業・小規模事業者では、企業運営の多くを経営者自身の経営能力や意欲に依存しており、後継者未定の半数に黒字廃業の可能性があります。
その結果2025年までの累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる可能性があるとも言われています。
中小企業・小規模事業者が持つ技術やノウハウなどの貴重な経営資源を守るためにも、後継者の養成や資産・負債の引継ぎなどが喫緊の課題となっています。
また、中小企業庁では、今後は第三者承継(事業承継型M&A)のニーズが一気に増大する可能性があるとしています。実際に事業承継をする時間はほとんど残されていないのかもしれません。
2025年問題で中小企業が取るべき対策
2025年問題は多くの中小企業に影響を与えます。何の準備もしなければ、企業の存続が危うくなります。
そのための取るべき対策を考えてみました。
事業継承をサポートしてもらう
公的支援を受けながら、速やかに事業継承の手続きを進めましょう。「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」の施行により、税制支援および金融支援の前提となる認定を受ける、遺留分に関する民法の特例を適用するなどで、事業継承の負担を減らせるようになりました。
後継者の育成も含めると、事業承継には5~10年の準備期間が必要とされています。経営者の平均引退年齢は70歳前後なので、経営者が60歳を迎えるころから準備を始めましょう。
なお、事業承継には法律や税務に関する専門知識が不可欠です。税理士などの専門家やコンサルタント、金融機関、商工会・商工会議所などから積極的にサポートを受けましょう。
人材雇用を進める
人材不足を解消するために、女性、シニア層、外国人の雇用を促進しましょう。そのためには、保育支援の充実や男性育休といった制度の導入など、労働環境の整備が必要です。多様な就労形態や労働条件を認めるだけでなく、従業員の意識改革も求めるダイバーシティマネジメントも求められます。
高齢化が原因の人材不足は、日本に限ったことではありません。他国との労働力確保を巡る競争は今後さらに激しくなるでしょう。
若者や女性に働きやすい環境を構築
介護や病気などによる離職を防ぐため、従業員に長く働いてもらえるよう労働環境を整える必要があります。たとえば、残業の削減や有給休暇の取得率アップ、ハラスメント防止などの環境づくりを行いましょう。
また、仕事と家庭が両立できるようにフレックスタイム制やテレワーク制度を推進するなどして、多様な働き方ができる社内制度を整備することも大切です。
DX化・システムを導入
人材不足を補うためにICTやAI、RPAなどのシステムを導入し、少ない人数での業務遂行を可能にしましょう。RPA(Robotic process Automation)とはロボットによる業務自動化のことで、パソコン上で行われる業務の自動化が可能です。
また、テレワークのようなICTを活用した働き方は、子育て中の女性や高齢者などが就業することへのハードルを下げるため、労働参加率アップも期待できます。
まとめ
2025年問題は目前に迫っているのに実質的な対策が出来ている中小企業はわずかです。
求められるのはスピード感です。時間をコストに換算して専門家や国の力を借りるなどのクションを1日も早くとる事が大切です。
ひとりで悩まずに商工会などの支援を使う事を強くオススメします。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。