中小企業における「2023年問題 」ってご存知でしょうか?
経営者であれば、ほとんどの方が知ってはいると思いますが今回の記事で今一度確認をしておいて下さい。
まだ取り組める時間は残されていますので、もしまだ未対策でもヒントになる事が必ずあるはずです。
読みやすくまとめましたので最後までお読み下さい。
2023年問題とは?
では、そもそも中小企業の「2023年問題」とは何でしょうか?
それは月60時間超の時間外労働の割増賃金率」が一律50%に引き上がる事です。
労働基準法では、法定時間外労働に対する割増賃金率が以下のように定められています。
・月60時間以内の時間外労働:25%以上
・月60時間超の時間外労働:50%以上
元々、月60時間超の法定時間外労働の割増賃金率は25%以上と定められていましたが、2010年4月より50%以上へと引き上げられました。
しかし、中小事業主に対しては、この引き上げが2023年3月31日まで猶予されています。
つまり、2023年問題とは2023年4月1日からは、月60時間を超える法定時間外労働に対しては、企業規模に関わらずすべての事業主が50%以上の割増賃金を支払う必要があるのです。
経営に与える影響
中小企業においては常にマンパワーが不足しています。
2023年以前であればどうにか時間外労働の賃金を捻出出来ていたとしても値上がり分を確保するのは大変な会社も多いはずです。
特に長時間労働が多いといわれる業界、会社は、法定割増賃金率の猶予期間終了後、人件費の上昇が予想されています。
事業形態として深夜時間帯におよぶ残業は、基礎となる時給に75%の割増となるため、大きな負担となります。
また、長時間残業させる従業員を減らすため、人材確保も活発化しています。他社の人材確保競争に伴い、一部では人件費全体が上昇している業界や地域も既にあります。
労働時間の把握はすべての基本
まずはその基礎となる適正な労働時間を把握する事が大切です。
基本としては原則的な時間管理が大切です。そのための記録方法は、2つあります
ひとつめは使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録することです。
そして、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することです。
今でもこのあたりの記録が杜撰な会社も多くあります。出勤簿に時間を記入するようなタイプは改ざんなどもされやすいのでデジタルでの記録をオススメします。
労働者の働く環境を整えるのがこの制度の目的なので、労働者に不利になる事は絶対にあってはならない事です。
その他の取り組み
実は割増賃金の他にも「代替休暇」という方法もあります。
そもそもこの制度は長時間労働の是正を目的とした割増賃金率の引き上げですが、これは労働者の健康を守るというという目的もあります。
そのため、時間外労働を行った労働者に対し、引き上げ分の割増賃金支払いに代えて代替休暇を付与することが可能です。
代替休暇は月60時間を超える時間外労働で引き上げとなる割増賃金分に限り利用できます。したがって、通常の時間外労働に対して支払われる(25%以上の割増率)割増賃金は、支払う必要があります。
2023年4月までに、代替休暇制度を取り入れるか検討すると良いでしょう。
まずは月60時間を超える時間外労働をしないことが一番の目標です。そのため、現在の長時間労働の原因を追求するためにも、業務の内容や流れを整理し業務の効率化も大切です。
労働者によって、仕事の偏りがないかも確認してください。整理した内容の中で無駄が見つかれば見直し、業務効率化を進めましょう。
まとめ
ちなみに、2023年4月以降も、月60時間超の時間外労働時間に対する割増賃金率を50%以上に引き上げない場合には、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。(労基法37条1項、119条1号)そのため、必ず割増賃金の引き上げを行いましょう。
またフレックスタイム制度は注意が必要です。フレックスタイム制は、一定期間(清算期間)の総所定労働時間を定めておき、始業・終業時刻を労働者が自由に決められる労働時間制度です。
したがって、1日8時間の法定労働時間を超過して働いてもすぐには時間外労働時間とはならず、清算期間における法定労働時間を超えて働いた時間が時間外労働とされます。
この時間外労働時間を起算日から累積し、法定労働時間の総枠を超えた時間数に見合う割増賃金率を適用し、割増賃金を計算します。
未対策は必ずバレますので早め早めの取り組みが必要です。
制度とは言え、しっかりと割増賃金を用意していれば、労働者の満足度も高まり、離職率を下げるきっかけにもなります。
もう、待ったなしの取り組みが今、求められています。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。