経営者には多くのスキルが必要です。特に現在は物事の変化のスピードが速いです。
そして世界の動きは瞬時に日本にも影響を与えグローバル化した世界の中にいる事を実感します。
幸いな事に私は多くの素晴らしい経営者と出会ってきました。実績だけではなく人間としても尊敬できる人ばかりです。
そんな経営者を見て学んだ経営者に必要な7つのスキルを今回採り上げます。
先を読む先見性
松下幸之助さんは「先見性を持てない人は指導者としての資格がない」と述べていました。
自身も、1938年に12インチブラウン管使用のテレビ試作品を完成させ1939年5月に日本放送協会(NHK)の技術研究所と東京放送会館との間の無線伝送試験に成功しました。
タイムマシンに乗って未来を見てきたかのような先見性を松下幸之助さんは実践していました。
先見性は経営者にとって必須のスキルといえます。
かつては栄華を極めた企業が今や倒産をして影も形もない事が少なくありません。
先見性をもち、会社の舵取りをする事が出来なければ会社の存亡に関係するのです。
先見性とは情報収集や情報分析だけでは足りません。それは経営者としての目標や社会への貢献が言語化できている必要があります。
今や、自社の繁栄だけを追求する企業は淘汰されます。先見性とは幅広い知見で考えて行動する事だと思います。
変化に対応する柔軟性
今回の新型コロナウィルスの世界的な流行もそうですが、変化は予想しないタイミングで襲ってきます。
きちんとした経営計画があるのは絶対ですが、時にはその経営計画を捨てたり、変更する事も経営者には求められます。
しかし、大企業や多くの社員や部署を抱えていると変化は非常に難しいものになります。
テキサス大学サンアントニオ校のカツヒロ・シミズ氏とテキサスA&M大学のマイケル・ヒット氏は2004年版「アカデミー・オブ・マネジメント・エグゼクティブ」誌の記事で、企業が戦略的柔軟性を高めようとするときに直面する障害を明らかにし、それを乗り越えるために経営者がとるべき方法を提案しています。
それによれば会社組織の戦略的重要性を下記のように定義しています。
①外的環境の大きな変化を把握する
②そうした変化に対応して新しい分野の活動にすばやく資源を投入する
③現在の資源投入を停止したり、他のプロジェクトに回したりすべき時を察知し、すばやく行動する
つまり経営者はこのような組織を作るために決断し動かなければいけないのです。
変化に対応するためには自社の社員のスキルや経験が足りない事も多いです。積極的に外部の人材や専門家のアドバイスを常に求める必要もあります。
ダーウィンが残した
『最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である』
という言葉はまさしく経営者にもあてはまるものです。
財務や経理の知識
成長を続け、売上を上げ続けている会社の経営者は間違いなく財務や経理に詳しいです。
「財務や経理に詳しい」というのは経理処理ができるという事ではありません。
経営に必要な数字をしっかりと把握しているのです。ですから財務や経理の基本的な知識は必要です。
そのためには、もうひとつ大切な要素があります。それは生きた経営の数字を理解している税理士です。
誤解している人が多いですが税理士は経営のプロではありません。税務の専門家です。
本当に経営の指導ができる税理士は一握りしかいないと言われています。
生きた経営の数字を理解している税理士であれば月次決算など当たり前にします。しかし普通の税理士は月次の決算は早くても数ヶ月後が多いです。
今日の試合の結果を半年後に分析しても意味がありません。実は普通の税理士はそのような事をしているのです。
税理士さんが悪いのではなく、本来の税理士の仕事がそのようなものなのです。
生きた経営の数字を理解している税理士をつけていれば経営者自身がそこまで財務や経理に詳しくなる必要性もなくなります。
せめて、決算書をしっかりと理解できるくらいまでは経営者の「普通」と考えましょう。
コミュニケーション能力
経営者の伝えたい事が社員に伝わらなければ会社組織は運営できません。
しかし、一番難しいのがこのコミュニケーション能力ではないでしょうか。それには理由があります。経営者と社員では視点が全く異なるからです。
一番わかりやすいのが「給料」についての考え方でしょう。経営者なら給料を上げるためにどうするか?考えます。
利益は売上から経費などを引いたものです。利益を確保して社員に給料をアップするために経費削減を考えます。
しかし、社員はそんな事は関係ありません。逆に経費を抑えられた事で仕事がやりにくくなったとか不便とか言うでしょう。
同じ会社という空間にいても経営者と社員ではまるで違う考えをしているのです。
しかしそれでもコミュニケーションは必要です。経営者にとってコミュニケーション能力は絶対に必要なものです。
ではどうすればコミュニケーション能力は上がるでしょうか?
色んな方法やテクニックがありますが、まずは「聞き手」になる事が重要です。経営者は仕事柄、自分の伝えたい事をまず伝えがちです。
でも、コミュニケーションはキャッチボールです。最初に投げたボールを拾ってもらえないとその先が続きません。
まず「聞き手」になり、それから「話し手」になる。これを繰り返す事が大事です。
特に社員は使われる立場、弱い立場なので経営者と同じ視点で話す事は逆効果です。まずは自分から下りていくのも大切な事です。
あなたはいかがですか?
資金調達能力
資金は会社の血液です。売上は上がっているけれど手元にお金が残っていない黒字倒産も多くあります。
よく混同されがちなのが「資金調達」と「融資」です。
「資金調達」とは、経営によって外部から「利益」という形で資金を得ることです。
これに対して「融資」とは、金融機関やその他会社外部の第三者から資金を「借入」して資金を得ることです。
資金を調達する点は両者とも同じですが、「利益」として獲得するか「借入」で獲得するかという点で大きく異なります。
この「資金調達」と「融資」を受けるための資金調達能力も経営者には必要なものです。
借入を増やしたり仕入代金を掛仕入や支払手形にして「負債」を増やしたりすることで、資金調達したり、資本を増やしたり、株式化したり、既存の資産を現金化など様々な方法があります。
適切なタイミングでこれらの事を判断して資金を確保する事が経営者の大切な仕事です。
決断力と行動力
経営者は決断力と行動力という一見相反した2つの力が必要です。
現状を変えるのには勇気が必要です。常に正しい答えが用意されている訳ではありません。
他社で上手くいっていても自社では上手くいかない可能性もあります。しかし、しかるタイミングで経営者は決断をしなければいけない事ばかりです。
そして、決断したからにはそれを行動して現実化させなければいけません。経営者が孤独なのはこれらをすべて自分の責任で行わなければいけないからです。
「決断力」とは、現時点で最善と思われる案をいち早く決めるスキルであり、目標達成するまでの持続する力とも言い換えられます。
決断したことを守り続ける心の強さが大切です。「決断」するだけでは、当然のことながら意味がありません。それを「行動」に移してはじめて目的に達成することができます。
その意味では決断力と行動力は相関関係にあるのです。
決断力と行動力を上げるには「目的」が必要です。それ無しには決断も行動もやりようがないのです。
あなたの経営者としても目的は何ですか?日頃の忙しさでついついそこまで意識が回らないかもしれませんが是非、時間をとって考えてみて下さい。
それも決断力であり、行動力です。
まとめ
今回、採り上げた「経営者に必要な7つのスキル」はあくまで私の主観的なものです。
実際にはもっと多くのスキルが必要かもしれません。しかし優先順位はつけられませんがこの7つのスキルは私の出会ってきた経営者から学んだ生きた知識です。
ぜひ、少しでも参考になれば嬉しいです。